注目される理由
今もなお、世界では早すぎる結婚や人身売買、無報酬の労働を強いられるなどして、女性が権利や自由を奪われたり、命を脅かされたりしています。女性という理由で教育の機会や仕事のチャンスが与えられないこともあります。紛争地域では性暴力被害に遭うなど、女性の立場はより脆弱です。
日本では、命に危険が及ぶことはないものの、男女格差が大きく社会的な課題となっています。世界経済フォーラム(WEF)が2022年7月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は146カ国中116位で、先進国の中では最下位でした。このような格差をなくすため、2016年、日本政府は「女性活躍推進法」を施行しました。この法律は2019年に改正され、労働者の性別による賃金格差をなくしたり、女性に昇進の機会を与えたりするなど、社会全体で女性の活躍を後押しし、エンパワーする動きが加速しています。
所得の少ない人などに少額を貸し付け、そのお金を元手に経済活動を行う「マイクロファイナンス」と呼ばれる仕組みがあります。バングラデシュのムハマド・ユヌス氏率いるグラミン銀行が実施し、女性らをエンパワーして生活力をつける手段として広がりました。ユヌス氏はこの活動により、ノーベル平和賞を2006年に受賞しています。
日本にも、グラミン銀行のモデルを参考にした、女性を支援する「グラミン日本」があります。一般社団法人として2018年に誕生し、シングルマザーや非正規雇用の女性を対象にマイクロファイナンス事業を展開しています。単にお金を貸すだけではなく、自立への一歩を踏み出す機会として、エンパワーメントしています。