気候変動

気候変動とは、太陽から受け取るエネルギーなどを源とする気温や風などの気象のパターンが、数十年かそれ以上の長期間にわたって持続的に変化すること です。昨今の気候変動は特に、 人類の営みが主な原因であると指摘されています。1800年代以降の産業革命後は、産業や工業が飛躍的に発達しました。近代の工業の発展を支えてきた石炭や石油などの化石燃料は、CO2などの温室効果ガスを発生させ、気温上昇を引き起こしているのです。このことは、大規模な山火事など自然災害が深刻化していることとも無関係ではなく、人間活動が人間の暮らしを脅かす結果になっています。気候変動に対する取り組みは、人類が住み続けられる地球を守っていくために、各国政府や企業、そして地球に暮らす人すべてが負う責任です。

注目される理由

私たちの身の周りを見渡すと、すでに温暖化が私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしていることが分かります。米国やオーストラリアでは大規模な山火事が起き、住まいを失う人たちがいます。日本では夏場の気温が高くなることで、熱中症で亡くなる人の数が増えています。また、短時間に激しい雨が降る一方、一年を通して降水が記録される日が減っている ことで、農作物の生育も影響を受けています。つまり私たちの食糧にも直結しているのです。

産業革命が18世紀後半 に始まったことで、人間の生産活動の中心がそれまでの農業から、工業へと転換しました。石油や石炭、ガスなどの化石燃料は産業革命以後の世界を支えてきた資源であり、現代に至るまで私たちの生活を維持する上で欠かせません。しかし他方では、化石燃料を燃やすことで発生する温室効果ガスのために気候変動が生じ、地球上にさまざまな影響をもたらしているのです。

IPCCは世界の気温上昇を、産業革命前の時期と比較して1.5℃以内に抑える よう強調しています。しかし2010年代の10年間だけで、気温は産業革命前と比べて1.07℃上昇しました。 また、このまま各国が新たな策を講じなければ今世紀末までに3℃上昇すると言われています。 私たちが21世紀の現在に経験している気候変動は、人類の歴史では未知の領域です。気候変動への対応は待ったなしの状態なのです。
*気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC):世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された。政府間組織として、人間活動を原因とする気候変動や社会に及ぼす影響などについて、科学的な見地から評価を行うことを目的とする。

(2025/2/18掲載)

参考:JAXAインスタグラム

宇宙から気候変動を監視することをミッションとする人工衛星があります。それは日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の気候変動観測衛星「しきさい」で、2017年12月に打ち上げられました。「しきさい」の目的は、気温上昇量の正確な予測を行ううえで科学的な理解が不足している現象について観測し、将来の気候変動予測の精度を高めることです。その中には、生物による二酸化炭素の吸収能力なども含まれます。JAXAのインスタグラムでは「しきさい」を含む、地球環境変動観測ミッションで人工衛星から撮影された地球の映像を見ることができます。

(プチメモ追記:2025/2/18)

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