ジニ係数

ジニ係数とは、国民の間で所得や資産が平等に分けられているかを示す指標のこと。イタリアの統計学者コッラド・ジニが考案したもので、経済格差を測る指標として国際的に使用されています。ジニ係数は0から1で表され、値が0であれば集団の所得がみな同じで、格差が全くないと解釈します。反対に値が1の場合は、集団の中でただ一人が所得を独り占めしている状態で、大きな格差があることを示します。

注目される理由

SDGsの目標10には、人や国の不平等をなくすことが挙げられています。この問題を解決するためには、国や国民の間でどのくらい格差があるのかを見えるようにしなくてはなりません。ジニ係数はそれを知る手掛かりの一つで、受け取った所得をもとに算出する「当初所得ジニ係数」と、社会保障料や税金を控除し、年金などの社会保障給付を加えた所得をもとに算出する「再分配所得ジニ係数」があります。

2021年にOECDが発表したリポートでは、日本の「再分配所得ジニ係数」は0.334。米国や英国よりは低いもののOECD諸国の平均(0.318)をやや上回り、所得の不平等が大きい方と示しています。

もう少し、詳しく見てみましょう。厚生労働省の調査によると、「再分配所得ジニ係数」は1999年の0.3814から2017年には0.3721と、上昇は見られません。一方で所得格差を表す「当初所得ジニ係数」は、1999年の0.4720から2017年には0.5594と大きく上昇しています。これは騒乱などの警戒ラインとされる0.4を上回る数字です。つまり日本は、長期的に所得格差が拡大しているものの、公的年金などの社会保障が機能しており、一定の秩序を保っている状態と言えます。

また年齢層を絞ると、日本では25歳から34歳のジニ係数が上昇傾向にあることも問題視されています。若者の失業率の上昇や、非正規雇用者の増加が原因として挙げられており、政府は格差是正を目指し、若者や非正規雇用者の待遇改善に取り組んでいます。

参考:厚生労働省 令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える- 第1部 第1章 第8節参考:OECD Income inequality参考:内閣府 日本経済2021-2022 第3章 成長と分配の好循環実現に向けた家計部門の課題参考:内閣府  平成29年度 年次経済財政報告 第2章 働き方の変化と経済・国民生活への影響 第3節参考:厚生労働省職業安定局 非正規雇用対策・若者雇用対策について

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