相対的貧困

貧困を表す指標には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。絶対的貧困が「生きていくための必要最低限度の生活が維持できないほどの水準」なのに対し、相対的貧困とは「国や地域の平均的な世帯より収入が低く、教育やレクリエーションなど、社会的な活動にまで金銭を支払う余裕のない状態」を言います。先進国においては、相対的貧困率が問題となっています。

注目される理由

貧困をなくすことは、SDGsの目標1としても掲げられています。貧困というと、開発途上国などにおける衣食住に事欠くような「絶対的貧困」が注目されがちですが、日本でも相対的貧困が問題となっています。2018年の国民生活基礎調査によると、日本の相対的貧困率は15.4%であり、G7の中でもアメリカに次いで2番目に高い貧困率です。

実際には貧困状態であっても、スマホを所持していたり、安価な衣類を着用して一見身だしなみに違和感がなかったりすることもあります。このように、暮らしぶりを見ただけでは貧困とわからないケースは「隠れ貧困」とも言われ、近年増えています。

特に子どもの貧困は世代を超えて連鎖すると言われ、社会的課題となっています。貧困は、子どもから教育やクラブ活動、習い事、高校・大学進学などの機会を奪い、自己実現を阻んでしまいます。また、生活保護世帯や児童養護施設、ひとり親家庭における子どもの大学進学率は、全世帯の平均数値を大幅に下回っているという結果があります。貧困により教育のチャンスを得られないと、将来、さらなる貧困に陥る可能性があります。これらの解決のため、2019年には子どもの貧困対策の推進に関する法律が改正され、2023年には「子ども家庭庁」が発足しました。奨学金の充実、生活相談や居場所づくり、ひとり親家庭への支援などが行われています。

参考:内閣府 第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(1.1)参考:厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況

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