17の目標ってなに?誰が決めたの?

記事監修者

龍崎孝さん

りゅうざき たかし|流通経済大学副学長/社会学部教授。元毎日新聞社記者。元TBS政治部長。新聞記者時代は竹下内閣当時の首相官邸、自民党、外務省などの取材を担当。1995年にTBS入社。阪神・淡路大震災やJNN三陸支局長時代に東日本大震災の被災地の現実を伝える。2006年から2010年までモスクワ支局長。2012年から報道局政治部長に就任。2014年10月からは報道局局次長兼解説委員となる。2016年3月末TBSを退社し、流通経済大学スポーツ健康科学部教授就任。現在は政治の専門家として数多くの番組に出演中。

more

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉とともに、よく耳にするのが『17の目標』です。これらの目標は、いつ誰が、何のために決めたのでしょうか? 17もの数がある理由や、これらを達成するために日本でどのような取り組みが行われているのかなど、解説します。

SDGs17の目標ってなに?

SDGsの17の目標とは、私たちの住む地球を持続可能なものにして、「誰一人取り残さない」社会をつくるために、2030年までに達成すべきゴールのことです。

引用:外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)
引用:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組

目標1~6が衣食住や教育などの基本的人権に基づくニーズ、目標7~11が社会経済的な内容、目標12~15が環境的な内容に分類できます。また、目標16、17は平和やグローバルパートナーシップの必要性を示しています。

目標1~6:衣食住や教育などの基本的人権に基づくニーズ
目標7~11:社会経済的な内容
目標12~15:環境的な内容
目標16、17:平和やグローバルパートナーシップの必要性

それぞれの目標には、それらを実現するための具体的なターゲットが設定されています。ターゲットは目標番号の後に数字やアルファベットが記されたもので、合計で169個あります。数字が記されたものは、目標を実現するための具体的な課題を示し、アルファベットが記されたものは課題を達成するための手段を表しています。

たとえば「目標1 貧困をなくそう」には、以下のようなターゲットが定められています(一部抜粋)。

【数字】=目標を実現するための具体的な課題
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる

【アルファベット】=課題を達成するための手段
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する

参考:農林水産省 SDGsの目標とターゲット(外務省仮訳)

17の目標は誰が決めたの?

2015年9月、193の加盟国が参加する国連サミットがニューヨークで開かれ、SDGsについて話し合われました。

このサミットにおいて全会一致で採択されたのが、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」です。このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画としての宣言および目標 をまとめた文書です。SDGsの17の目標とターゲットはこのアジェンダに記されています。

SDGsを決めるにあたっては、1,500を超える企業や団体から意見や指針が提供されました。17の目標は、それらの意見を参考にしながら、国連サミットに参加した加盟国が決めたと言えるでしょう。
参考:国際連合広報センター 2030アジェンダ

なぜ17も必要なの?

SDGsが掲げられる前、2001年にMDGs(ミレニアム開発目標)が採択されていました。MDGsでは、2015年までの期限付きで、途上国を対象に貧困や飢餓、エイズやマラリアなどの疾病予防など、8つの目標と21のターゲット、そして60の指標が定められていました。しかしMDGsは、一定の成果を挙げつつも、未達成の目標や課題を残しました。それを引き継いだのがSDGsです。

現代は、MDGsの時代よりも世界が抱える問題がさらに複雑になっており、先進国と途上国の両方が課題解決に取り組むべきだと考えられました。そのためSDGsでは、すべての国と人を対象に、MDGsよりも多い17の目標と169のターゲットが掲げられています。

日本はどのように取り組んでいるの?

17のゴールを達成するため、2016年、日本政府はSDGs推進本部を設立しました。同年12月には、SDGs実施指針と8つの優先課題が策定されました。実施指針には、SDGs の達成に向けてどのような取り組みをすべきかがまとめられ、8つの優先課題には、ジェンダー平等や地域活性化、健康促進やインフラ整備など、日本が抱えるあらゆる課題が盛り込まれています。

2017年からは、SDGs推進本部が主催となり「ジャパンSDGsアワード」が開催されています。このアワードは、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業や団体を表彰するものです。さまざまな企業や団体がアワードへの参加を通して、得意分野を活かして環境保護に努めたり、社員の働きがいを向上させたりしてSDGsを達成しようとしています。
このように、SDGsの2030年の期限に向けて、政府や企業が協力し、環境を守る活動や人権保護活動、教育活動など、各地でさまざまなSDGs活動を行っています。

参考:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組

まとめ

17の目標を理解することで、SDGsを達成するための道筋を知ることができます。地球上の誰一人取り残さず、持続可能な社会をつくるためには、どの目標も欠かせないのです。

参考文献
国際連合広報センター 持続可能な開発目標
外務省 SDGsとは?
外務省 ミレニアム開発目標(MDGs)
農林水産省 SDGsの目標とターゲット
官邸(SDGs推進本部) SDGsアクションプラン2021
法務省 法務省におけるSDGs推進の取組

この情報が参考になった?

あわせて読みたいここから始まる SDGs

一覧へもどる